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主要国の中央銀行における金融調節の枠組み

2006年6月
日本銀行企画局

はじめに

 日本銀行は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するため、金融政策を運営している。現在、金融政策の運営は、民間金融機関がごく短期の資金を貸借する際の金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を一定の水準に誘導し、これを起点として民間経済主体の金融・経済活動に影響を与えることにより行われている。この無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導は、具体的には、民間金融機関が日本銀行に開設している日銀当座預金に対する需給に働き掛けることによって実現されており、これを「金融調節」と呼んでいる。

 米国や英国、ユーロエリアを始めとする各国の中央銀行においても、現在、金融調節によって短期の市場金利を誘導することを通じ金融政策を運営するという枠組みがとられている。したがって、金融調節の円滑な運営は、中央銀行にとって重要な課題であり、各中央銀行とも、それぞれが置かれた金融市場の環境等を踏まえつつ、金融調節に関する制度の見直しや運営上の工夫に努めてきている。

 本稿では、米国・FRS(Federal Reserve System:連邦準備制度)、ユーロエリア・ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)、英国・BOE(Bank of England:イングランド銀行)および日本銀行における金融調節の枠組みの現状について、近年の制度変更や運営上の工夫に着目しながら整理することとしたい。