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地域金融機関におけるシステム・プロジェクト管理の現状について

(地域金融機関147行庫へのアンケート調査結果)

2007年9月21日
日本銀行金融機構局

はじめに

 近年、金融再編に伴うコンピュータ・システム(以下、システム)の統合や、経営効率化を目指したシステムの共同化を実施する金融機関が増えている。また、そうした特別な事情がない金融機関も、数年置きにハードウェアや基本ソフトウェア(OS)の更改を行う必要があり、大規模システム・プロジェクトの管理は多くの金融機関に共通の課題である。

 過去を振り返ると、適切なプロジェクト管理が行われなかった結果、計画の変更・延期を余儀なくされたり、システム稼動時に重大障害を発生させた事例も見られる。システムの障害は、潜在する不具合の顕在化や運用ミス等により起きることもあるが、何らかの変更を加えた際に発生する確率が高く、なかでも新システムが稼動し始める時のリスクが最大と言える。預金・為替等の業務を担う基幹勘定系システムは、外部のシステムとも連動しながら膨大な取引データを処理しているだけに、重大な障害が発生した場合には、自行庫の業務運営に支障が生じるだけでなく、決済システム全体にも影響を及ぼす可能性がある。

 金融機関は、こうしたリスクを抑制するためのプロジェクト管理に取り組む必要があるが、限りある期間と資源に対し、システムと事務の両面に跨った所要作業は多岐に亘り大量に存在する。このため、「何をどこまでやったら良いか」の目安が見つからずに悩んでいる金融機関も多いように見受けられる。

 日本銀行では、数年前からこうしたプロジェクトの管理を重点調査対象とし、考査等を通じて金融機関の対応状況を確認のうえ、必要に応じ助言してきた。また、こうした活動や対話を通じて、システム品質の向上や事務習熟等のためにどういったポイントが重要であるかのノウハウを蓄積してきた。

 本稿では、こうしたポイントに沿って実施したアンケート調査により得られた「プロジェクト管理の現状」をお示しすることとした。各金融機関において、プロジェクトを適切に遂行するうえでの参考材料として活用していただくことを期待している。

本件に関する照会先

日本銀行金融機構局システム関連考査担当

江見 明弘、河本 勝也 03-3277-1932

日本銀行から

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