金融機関間の資金決済のための流動性について
次世代RTGSプロジェクト第2期対応実施後の変化を中心に
2012年9月25日
日本銀行決済機構局
土屋宰貴※1
要旨
金融機関は、コール取引や外国為替取引等、様々な取引を行っており、取引の約定成立後、資金の支払側は、決済に必要な流動性を自らの日銀当座預金に用意したうえで、日銀ネットに対し振替依頼を送信すること等により決済している。本稿では、こうした金融機関が決済のために用意する流動性の状況について、日銀ネットの決済データを使って分析した。この結果、2011年11月の次世代RTGS第2期対応(1件1億円以上の大口内為取引のRTGS化)の実施に伴い、金融機関がRTGS決済のために投入した流動性は大きく増加したが、このうち結果的に決済に利用されなかった流動性が、相応に存在することが分かった。また、次世代RTGSプロジェクトによって導入された流動性節約機能は、現在の緩和的な金融環境の下でも、一定の節約効果を発揮していることが確認された。
足もとでは、決済のために多額の流動性を恒常的に用意している金融機関が少なくないとみられる。今後、金融環境等が変化した場合には、金融機関の流動性コストに対する意識にも変化が生じる可能性がある。そうした下で、決済の円滑性を維持していくためには、各金融機関や市場・制度運営者等の幅広い関係者における対応が必要となる可能性がある。本稿の分析が、そうした検討に資することを期待している。
- ※1E-mail : saiki.tsuchiya@boj.or.jp 現・金融機構局
日本銀行から
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