業務継続体制の実効性確保に向けた確認項目と具体的な取組事例(第3版)
2015年5月19日
日本銀行金融機構局
はじめに
日本銀行では、2008年5月に「業務継続体制の実効性確保に向けた確認項目と具体的な取組事例」を公表し、業務継続体制を整備するうえで必要な項目を整理し具体的な取組事例を紹介した。その後2010年3月に、新型インフルエンザ等の感染症に着目した対応を追加した「業務継続体制の実効性確保に向けた確認項目と具体的な取組事例(増補改訂版)」(以下「増補改訂版」)を、2012年1月には、東日本大震災の被害を経験した金融機関へのヒアリングなどを踏まえた「東日本大震災において有効に機能した事例と同震災を踏まえた見直し事例」を公表した。
その後も、日本銀行では、考査やオフサイト・モニタリングなどを通じて、各金融機関と業務継続に関する議論を重ねてきた。この間、多くの先で、より幅広い被災シナリオに対応した業務継続計画の拡充など、業務継続体制の整備が進捗している。
本稿では、上記2010年3月の増補改訂版に、その後の金融機関を取り巻く環境の変化や東日本大震災の経験、業務継続に関する各金融機関との議論などを踏まえ、内容の追加・整理を行った。また、業務継続体制の整備におけるPDCAサイクルの一段の明確化や読みやすさの観点から、構成の見直しや文言の修正を行った。この結果、章建てとしては、本稿では「評価、見直し」の章を新たに設ける一方、増補改訂版の「新型インフルエンザ等の感染症に着目した対応」の章については本稿では別建てとせずに、その内容を該当する各章に記載している。
また、「具体的な取組事例」では、増補改訂版と同様に、業務継続体制を整備する上で参考となる事例のなかでとりわけ多くの金融機関において取り組まれている基本的な事例について、今回改めて見直したうえで「◎」印を付した。
もとより、業務継続体制の整備については、各金融機関の置かれた環境や立場によって被り得る災害や期待される対応水準が異なるうえ、対応策には多様なアプローチがあり得る。また、本稿で紹介する対応例には、総論的なものから技術的なものまで様々なものが含まれている。各金融機関においては、本稿を参考にしながら自らにとって適切な対応を検討し、業務継続計画の実効性を着実に高めていくことが期待される。
日本銀行としては、本稿も活用しつつ金融機関との議論をさらに深め、ひいては被災時におけるわが国の金融・決済システムの安定性向上に繋げていきたいと考えている。
日本銀行から
本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。
転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
照会先
金融機構局考査企画課システム・業務継続グループ
佐々木 雅浩、加藤 隆志、森 淳稔
E-mail : csrbcm@boj.or.jp