ニュース
- 8/15(月)
(論文)金融研究所DPS:2022年国際コンファランスの模様
- 8/15(月)
(論文)金融研究所DPS:個々人のトレンド・インフレ率
- 8/ 5(金)
消費活動指数
日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央銀行です。
ホーム > 調査・研究 > 日本銀行レポート・調査論文 > 調査論文 2018年 > (論文)東大・日銀 第7回共催コンファレンス「マクロ経済分析の新展開:景気循環と経済成長の連関」の模様
2018年3月30日
日本銀行調査統計局
東京大学金融教育研究センターと日本銀行調査統計局は、2017年11月30日、日本銀行本店にて、「景気循環と経済成長の連関」と題するコンファレンスを共同開催した。そこでは計5本の論文が報告されたほか、全体の総括討議も行われた。議論の内容を要約すると以下のとおりである。
討論者の間では、景気循環と経済成長は連関しているとの認識が共有された。そのうえで、人手不足に伴う高圧経済が、省力化投資などを促すことで、生産性や潜在成長率を上昇させうるとの見方にも概ね同意がみられた。もっとも、金融緩和を長期間継続することによって高圧経済を実現しようとすれば、資源配分の歪みや金融面の不安定化などを通じて、かえって潜在成長率を低下させる可能性もあるなど、副作用の存在にも留意が促された。
また、高圧経済は、賃金や物価の上昇にもつながるとの見方も示された。もっとも、需要超過にある介護など成長産業の価格が規制されていること、多くの高スキルの女性が単純な仕事をしているため労働の質の面でスラックが存在している可能性があること、人工知能などの技術導入が高圧経済下で促されること、価格を据え置くノルム(規範)が根強くあることなどから、上昇するまで時間を要する可能性も指摘された。そうしたもとでも、2%の物価安定の目標については、中長期的に目指すことには異論はないとの意見が多く聞かれた。
さらに、景気循環と経済成長が連関するもとでも、金融政策は景気循環の安定を目指すという基本的な考え方は変わらないとの見方が概ね共有された。一方、成長トレンドの引き上げのためには構造政策が割り当てられるべきであるが、金融政策と構造政策が相互に影響をみながら政策を実行していくことも重要と指摘された。
本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。
E-mail : post.rsd18@boj.or.jp