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「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップ
第1回「わが国の物価変動の特徴点」の模様

2022年5月23日
日本銀行企画局

要旨

2022年3月29日、「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題」に関するワークショップの第1回「わが国の物価変動の特徴点」が、日本銀行本店にて開催された。コロナ禍で浮き彫りになった日米欧の消費者物価動向の違いを足掛かりに、わが国の物価変動の特徴点に関して、経済学や実証分析の専門家・学者を交え、活発な議論が行われた。

第1セッションでは、コロナ禍におけるわが国の消費者物価上昇率が米欧と比べて低い背景について、価格変動分布やコア物価指標等を用いた分析結果に基づき、わが国の特徴点が報告された。また、物価上昇の持続性という観点から重要と考えられる賃金と物価の関係について、わが国で両者の相互依存関係が弱いことを示す実証分析結果に基づき、議論が行われた。第2セッションでは、日米欧の消費者物価動向の違いをもたらしているサービス価格、その中でも家賃等が取り上げられ、その計測上の論点が議論された。そのうえで、測定方法次第では、コロナ禍における各国間の物価上昇率の格差も相応に変わり得る可能性が指摘された。

第3セッションでは、パネルディスカッションが行われ、主として(1)わが国と米欧で消費者物価の動向が異なる背景、(2)今後の物価見通し、(3)物価の現状認識と見通しを踏まえた金融政策の課題、の3つの論点が議論された。(1)の論点について、米国では、需要の急回復や労働参加率の低下などがインフレ高進の要因となっている一方、わが国では、こうした要因が見受けられないため、米国対比で消費者物価が弱くなっているとの認識で概ね一致した。(2)の論点については、わが国では、感染症拡大前から続く慢性的なデフレ要因や、感染症の影響長期化に伴う需要の減退を背景に、物価が再び低迷するリスクがある一方、商品市況の高騰を起点としたコストプッシュ・ショックによって、インフレが高進するリスクもあると指摘された。そのうえで、どちらのリスクが顕在化する可能性が高いかについては、今後の賃金動向の見極めがポイントになるとの見方が示された。(3)の論点については、需要の弱さに対しては金融緩和を継続することが望ましいとの認識が共有された一方、エネルギーを中心とした一部の品目の価格上昇に対しては、金融政策以外の方法で対応することが望ましいとの見解が示された。

  • 本稿で示されたワークショップ内での報告・発言内容は発言者個人に属しており、必ずしも日本銀行、あるいは企画局の見解を示すものではない。

日本銀行から

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