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低金利下における資本コストの動向 〜EBOモデルに基づく観察〜

2005年 2月18日
中嶋基晴
馬場直彦

日本銀行から

 日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (rev05j02.pdf 60KB) から入手できます。

要旨

金融緩和効果の浸透とともに、借入や社債発行による企業の資金調達コスト(負債コスト)は、1990年代央にかけて大きく低下した。もっとも近年では、負債の資本コストの低下は限界に達しつつある。一方、株式発行による資金調達コスト(株式コスト)は、90年代後半以降、企業業績に対する見方が幾分好転し、株式の期待収益率が上昇したことから、小幅上昇に転じている。その結果、負債と株式双方による調達コストの加重平均値(資本コスト)も、90年代後半以降は、横這いないし小幅上昇の方向で推移している。こうした金融緩和局面における株式コストの上昇と、それに起因する資本コストの上昇は、米国でも近年観察された現象である。このような株式・負債コストおよび資本コストの推移が、収益環境改善に伴うキャッシュフローの改善と相まって、企業が進める最適資本構成に向けた調整や前向きの支出活動を下支えしていくものとなるか、今後も注目される。