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経済変動と3つのギャップ

GDPギャップ、実質金利ギャップ、実質賃金ギャップ

2005年 2月 2日
調査統計局
木村 武
古賀麻衣子

日本銀行から

 日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

 内容に関するご質問は、日本銀行調査統計局 齋藤克仁までお寄せ下さい。

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (rev05j03.pdf 63KB) から入手できます。

要旨

マクロ経済学の入門書では、まず価格調整が終了した「長期均衡」の説明をした後で、価格調整が完了していない「短期の経済変動」の説明へと進むのが一般的である。価格調整が終了した「長期均衡」とは、価格が完全に伸縮的なもとで達成される経済と言い換えることができる。一方、価格に粘着性が存在する場合、経済は一時的に長期均衡から乖離し得るが、価格の調整が進むにつれて、次第に長期均衡に収束していく。近年、新しいケインズ経済学において、価格が伸縮的なもとで達成される経済の長期均衡と、価格粘着性に伴う短期の経済変動——すなわち、経済の長期均衡からの乖離——について説明する理論的かつ統一的な枠組みが構築されてきている。本稿は、その枠組みについて、GDPギャップと実質金利ギャップ、実質賃金ギャップという3つのギャップを軸に、考え方の整理を行ったものである。この枠組みは、様々な経済現象を理論的に解釈するうえで有益なツールとなるばかりでなく、金融政策ルールの分析の基礎にもなるものである。