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わが国企業による有利子負債の圧縮と利益配分策

2005年 5月11日
嶋谷毅
中嶋基晴
上野陽一
馬場直彦

日本銀行から

 日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (rev05j07.pdf 73KB) から入手できます。

要旨

1990年代以降、わが国企業の資金調達行動は大きく変化した。東証1部上場企業を対象に行った実証分析の結果を総合すると、以下の姿がみえてくる。(1)比較的格付けの高い企業の負債・資本比率は、借入の抑制などを通じて適正な水準へと近づきつつある。(2)一方、比較的格付けの低い企業は、依然として過剰負債の状態にある。こうした企業は、借入の抑制に加えて、自社の株価が上昇する局面で、増資や転換社債を発行することにより、負債・資本比率の調整を行ってきた。(3)過剰負債の調整を終えたと考えられる企業の中には、設備投資や配当・自社株消却といった株主に対する利益配分策の実行よりも、内部留保のさらなる積み上げを選好する企業も多い。この要因として、先行きの業況見通しに関する不確実性が依然として残存していることから、経営者が手元に資金を滞留させておこうとする強いインセンティブを有している可能性を挙げることができる。もっとも、今後、一段と収益が好転する場合には、有利子負債の圧縮が進捗した企業を中心に、各々の財務特性に見合ったかたちで、利益配分を積極的に行っていく可能性がある。