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米国の長期金利の「謎」を考える:金融政策との関連を中心に

2005年 5月16日
国際局
久田祥史
安藤裕康
谷川純子
加藤 涼

日本銀行から

 日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

 内容に関するご質問は、日本銀行国際局 大山までお寄せ下さい。

 以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (rev05j08.pdf 643KB) から入手できます。

要旨

 昨年半ば以降、米国を中心とする多くの国・地域で、それまでの金融緩和を徐々に修正する流れが続いているが、その中で米欧の長期金利は、歴史的な低水準で推移し、時期によってはむしろ低下していた。この現象については、米国連邦準備制度(以下FRB)のグリーンスパン議長が「謎(conundrum)」であると発言するなど、国際的に関心が高まった。

 本稿では、こうした長期金利の動きに影響を与えていると考えられる様々な要因のうち、とくに金融政策が何らかの影響を与えている可能性について、米国のケースを題材とした分析を紹介する。そこでは、近年、(1)FRB の金融政策運営に関する不確実性が低下しており、それが米国の長期金利を押し下げる方向で作用している可能性があること、また、(2)金融政策がより長期的なインフレ率や景気に関する期待形成に与える影響を強めており、その結果として長期金利の安定性を高めている可能性があることを指摘する。