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マネーサプライの動向について

2006年1月10日
企画局
京増絹子
高田英樹

要旨

わが国のマネーサプライ(M2+CD)の伸び率をみると、90年代後半以降、わが国経済が総じて低成長を続け物価も緩やかな下落方向にある中で、名目GDP成長率を上回る相応に高い伸びを示している。この結果、マネーサプライの残高は、経済規模(名目GDP)との対比で極めて高い水準にある。その背景としては、(1) 預金金利の低下余地が次第に乏しくなる中で、預金以外の金融資産の収益率が大幅に低下したため、銀行預金の利回りが相対的に有利になったこと、(2) そうした状況のもとで、金融不安が相次いで生じたことから、預金保険による全額保護の対象であった銀行預金へのシフトが大規模で発生したこと、などが挙げられる。

足許では、景気が回復を続け、金融機関の貸出姿勢は積極化しているものの、金融システムが安定する中、銀行預金から銀行預金以外への資産選択が進みつつある。このため、当面マネーサプライの伸びが高まるとは予想しにくいが、その背後にある要因を踏まえると、そうしたマネーサプライの状況は、緩やかな物価上昇や経済の持続的成長と十分両立可能と考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、企画局 加藤までお寄せ下さい。