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クレジット・スプレッドに影響を及ぼすマクロ要因

2006年4月20日
大岡英興
上野陽一
一上響

要旨

クレジット・スプレッドは、企業の資金調達コストを変化させ、設備投資やM&Aなどの企業行動に影響を及ぼしうることから、金融政策の波及効果を考えるうえでも、重要な指標である。クレジット・スプレッドは、2002年春以降、概ね縮小基調を辿ってきた後、足許では、金融経済環境の様々な変化を受けて、拡大に転じるのではないかといった声も聞かれる。クレジット・スプレッドには、企業の信用力だけでなく、金利水準や投資家の資産配分など市場の環境変化に伴う複数の要因が影響するため、今後の方向性を考えていくうえでは、それぞれの要因の影響の大きさを把握し、どちらの方向への圧力が強いか見極めることが重要となる。本稿では、格付ごとに社債のクレジット・スプレッドについて回帰分析を用い、各要因の影響を定量的に分析した。これによると、高格付債では国債金利、中程度の格付では金利の不確実性、低格付債では企業収益の影響を受けやすいとの分析結果が得られた。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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