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経済見通しの作成における政策金利の前提

2006年5月9日
原尚子 長野哲平 上原博人 木村武 清水季子

要旨

フォワード・ルッキングな金融政策運営を行うためには、先行きの経済について的確な見通しをもつことが不可欠である。一方、経済動向と政策金利は相互に影響し合うため、経済見通しを作成する際には先行きの政策金利について何らかの前提が必要となる。この前提の置き方に関しては、先行きの金利が可変か不変か、可変の場合に市場予想を用いるかどうかなどを巡って多様な考え方が存在し得る。どの方法が優れているかは、一概に決めることが困難であり、現に海外の中央銀行においても様々な取組みが行われている。日本銀行は、昨年10月末に公表した展望レポートまでは、先行きの金融政策運営について不変を前提としていたが、4月末に公表した展望レポートにおいては、「各政策委員は、政策金利について市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の予想を参考にしつつ」経済見通しを作成している。実際に観察される市場金利から先行きの金利見通しに関する情報を得るには、先物金利が参考になる。その際、先物金利には、平均的な金利水準の予想と将来の不確実性に起因するリスクプレミアムの両方が反映されており、それぞれの変動を的確に見極めることが必要となる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、金融市場局 清水までお寄せ下さい。