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「ファンド」の企業金融における役割

〜事業再生を契機とする新たな資金調達チャネルの確立〜

2006年6月26日
河合祐子
西田章

要旨

「ファンド」とは、一般に、ファンドの運営会社が投資家から集めた運用資金のプールを指す。本邦においては、これまで事業再生が契機となってファンドが企業金融に関わりを持つことが多かったが、近年の景気回復と共に、経営破綻した会社の再生という限られた事例から、より早期の建て直しや、ノンコア事業の再編といった事例にもファンドの関与が広がってきている。過剰債務の整理だけではなく、新たな借入や新株の発行などによる資金調達、企業または部門の売却による経営合理化などの局面において、新規資金の提供者又は売却対象事業の譲受先が求められており、その担い手としてファンドが活躍する場面はいっそう拡大しているのである。ファンドと一口にいってもその組織形態および運用方針などの実態は様々である。本稿では、基本に立ち戻ってファンドの出資者と運用者の関係を整理した上で、ファンドの活動が、M&A・事業再生実務や金融市場に与える影響を考察する。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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