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量的緩和政策解除以降の短期金融市場における裁定行動

為替スワップ・ユーロ円市場を中心に

2007年3月22日
金融市場局資金債券担当
長野哲平 大岡英興 馬場直彦

要旨

2006年3月の量的緩和政策解除以降、短期金融市場において取引が活発化している。この間、特に、海外金融機関等による円資金取引が増加している。本レビューでは、こうした海外金融機関等にとっての主要な円資金調達手段である、海外を中心とする為替スワップ市場・ユーロ円市場と国内の短期金融市場との間のレート格差・裁定状況を整理した。ターム物市場では、量的緩和政策解除直後にはレート間の乖離が広がる局面もみられたものの、最近では為替スワップ、ユーロ円、FB/TB市場などの間で裁定取引が活発に行われ、レートも収斂しつつある。一方、翌日物市場では、為替スワップ市場やユーロ円市場においてT/N物レートが上昇するときなどを捉えて、無担保コール市場などとの間で裁定取引が行われているものの、ターム物対比では改善の余地がある。この背景には、(1)為替スワップ市場やユーロ円市場におけるT/N物取引が円資金の実質的な最終調達手段となる海外金融機関等が少なからずみられること、(2)本邦金融機関では、内外市場間で裁定取引を行うに当たって、体制面などで制約があることなどがあると思われる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融市場局馬場直彦までお寄せ下さい。