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企業の研究開発投資を巡る最近の動向

2007年4月12日
調査統計局
一瀬善孝、齋藤克仁、丸尾優士

要旨

企業の研究開発投資は、90年代以降鈍化傾向をたどってきたが、最近では、多くの業種で再び伸びを高めつつある。こうした背景には、(1)国際的な技術競争の激化、(2)製品・技術サイクルの短期化、(3)収益力が改善するもとでの長期的な視野に立った経営姿勢の強まり、などが指摘されている。研究開発の効率性の面では、わが国企業は、従来から特許取得の数では多いが、それが十分に収益に結びついていないと言われてきた。しかし、最近では、特許収益性(企業収益/特許数)が上昇するなど、研究開発の効率性は徐々に高まってきている可能性がある。実際、企業は、効率性向上を目指して、(1)事業分野に合わせた研究開発分野の選択と集中、(2)研究開発成果を事業化につなげるための工夫、(3)知的財産の有効活用、などの取り組みを進めている。こうしたもとで、企業の研究開発がマクロ経済に与えるプラス効果は、将来にわたり着実に現れていくものと期待される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行調査統計局 峯岸誠までお寄せ下さい。