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近年のレバレッジの動向とヘッジファンドの関わり

リスク管理上の視点を踏まえて

2008年5月16日
金融機構局大手金融グループ担当
川名洋平 河西慎 菱川功

要旨

近年、ヘッジファンドの間では、信用スプレッドの縮小や市場ボラティリティの低下等による超過収益の稼得機会の減少を補うため、借入れ(レポ取引等)や証券化商品のエクイティ部分への投資等、様々な方法を通じて「レバレッジ」を拡大することで、パフォーマンスの維持・向上を図る動きがみられた。利用可能なデータからその動向を探ると、こうして拡大したレバレッジは、昨年後半以降、大幅な巻き戻し過程に入っていることが示唆される。金融機関は、プライム・ブローカーや投資家等、様々な立場でヘッジファンドと関わりを持つが、いずれの立場からも、レバレッジの状況を適切にモニターする取り組みを続けることが重要と言える。また、中央銀行としても、レバレッジのマクロ的な動向を注視することは、金融システムが潜在的に抱えるリスクを把握する観点から重要と考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融機構局 菱川 功(E-mail:isao.hishikawa@boj.or.jp)までお知らせ下さい。