調査・研究

ホーム > 調査・研究 > ワーキングペーパー・日銀レビュー・日銀リサーチラボ > 日銀レビュー・シリーズ 2008年 > 主要通貨市場における資金需給逼迫の波及メカニズム

主要通貨市場における資金需給逼迫の波及メカニズム

2008年7月16日
金融市場局
今久保圭 木村武 長野哲平

要旨

2007年8月以降、サブプライム住宅ローン問題を契機に、主要通貨の短期金融市場では、資金需給の逼迫した状況が続いている。クレジットリスクや流動性リスクに対する警戒感が強まる中、各通貨のターム物金利には、程度の差こそあれ、上昇圧力がかかりやすい地合いとなっている。本稿では、VAR(ベクトル自己回帰)モデルを用いて、日米欧市場間の資金需給逼迫の波及メカニズムについて分析した。分析の結果、3通貨のターム物金利の変動率の高まりには、市場で発生するファンディング・ショック(需給逼迫をもたらすショック)の大きさが拡大したことに加え、市場構造自体が変化したことも寄与していることが確認された。ドル資金調達環境に対する不確実性が強まる下で、金融機関の資金調達行動の変化等を通じて、ショックがより増幅され、需給逼迫の影響が伝播しやすくなっている。これには、本来、通貨間の需給ミスマッチを緩和するはずの為替スワップが、市場流動性の収縮から、市場機能を十分発揮できなくなっていることが一因と考えられる。ドル資金市場の需給逼迫は、為替スワップ市場におけるドル資金需要の拡大というかたちで顕現化したが、流動性が低下した為替スワップ市場ではこうした需要を吸収しきれず、同市場におけるドル調達コストが大幅に上昇した。為替スワップ市場でドル調達コストが上昇したことは、ドル資金市場にフィードバックし、ターム物金利の一段の上昇をもたらした面があると考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するものです。
ただし、レポートで示された意見や解釈に当たる部分は、執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融市場局 木村武(E-mail: takeshi.kimura@boj.or.jp)までお知らせ下さい。