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キャリートレードと為替レート変動

金利変動が市場参加者のリスク認識に与える影響

2009年6月4日
金融市場局
塩沢裕之 古賀麻衣子 木村武

要旨

2007年夏まで続いた世界的なマクロ経済の安定化や先進国の緩和的な金融環境は、投資家のリスクアペタイトを高め、様々な金融資産価格の上昇をもたらした。為替市場におけるキャリートレードを背景とした投資通貨の増価もその一例とみることができる。円キャリートレードの超過収益の発生は、新たな投資家を次々と呼び込み、投資通貨の増価と調達通貨である円の減価をもたらし、それがまた、トレードの収益拡大を自己実現化させるという循環につながった。しかし、キャリートレードの超過収益は、「カバー無しの金利裁定式」からの乖離によって発生するものであり、収益が拡大するほど、投資通貨の急落リスク(円の急騰リスク)を溜め込んでいく性質がある。その意味で、キャリーポジションの拡大は、いわゆる「金融の不均衡」の拡大の一形態と解釈することもできる。サブプライムローン問題の顕在化やリーマンブラザーズの破綻を契機とした、金融経済環境の不確実性の拡大や資金流動性制約のタイト化が、投資家によるキャリーポジションの巻き戻しを誘発し、投資通貨の減価と円の増価という形で、為替レートの大幅な変動を引き起こす一因になったと考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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