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今次金融危機の経験を踏まえた金融政策ルールの拡張について

2010年5月24日
企画局
開発壮平・黒住卓司、金融研究所 寺西勇生

要旨

今般の世界的な金融経済危機の経験を踏まえて、金融政策運営のあり方が改めて問われている。金融政策論の分野では、インフレ率とGDPギャップへのシステマティックな政策対応を表現したテイラー・ルールについて、金融面の動き(金融環境)への対応も取り入れた拡張が試みられている。本稿では、このようなテイラー・ルールの拡張に関する議論を紹介する。

近年の研究では、企業や家計への貸出金利と政策金利のスプレッドや、金融機関の貸出量に反応するテイラー・ルールの拡張が提案されている。このように拡張されたルールは、経済へのショックが金融要因であることが明らかである限り、経済の安定化に貢献する。しかしながら、実際には、ショックが金融要因であるか、技術進歩等の非金融要因であるかをリアルタイムで識別することは困難であり、拡張ルールのように金融環境の情報に対して一律な政策対応を行うことは難しい。そのため、ルールを基本とし金融政策運営の一貫性と予見可能性を確保した上で、金融環境の変化等を考慮した裁量的な政策対応を行う「制約された裁量(constrained discretion)」の重要性が改めて認識されている。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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