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中国における経済成長のリバランスについて

2011年9月9日
国際局 福本智之
調査統計局 武藤一郎

要旨

中国経済は、過去30年以上にわたり、投資主導の高成長を続けてきた。もっとも、中国のGDPに占める投資の比率は、既に46%と世界的にも群を抜いて高く、今後、安定的な経済成長を持続していくためには、経済成長のリバランス、特に投資と消費の調和の取れた成長への転換が必要と考えられる。この点、日本においても、1955-70年にかけての高度成長期には、中国と同様、対GDP比でみた投資比率の上昇、消費比率の低下が観察されたが、1970年代に入ると、(1)それまで労働生産性対比で低位に抑制されていた労働コストが上昇すると同時に、(2)資本収益率の低下と資本コストの上昇によって企業の投資採算が縮小し、それらが、経済成長のリバランスにつながっていった。今後、中国が経済成長のリバランスを実現していく過程においても、労働コストと資本コストの歪みが、調和のとれた形で是正されていくことが重要であろう。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局 福本智之 (tomoyuki.fukumoto@boj.or.jp)までお知らせください。