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資金循環統計の特徴と拡充に向けた取り組み

2012年3月19日
調査統計局 大熊 亮一、小早川 周司

要旨

資金循環統計は、わが国の家計や企業などの金融資産・負債の推移を包括的に記録したものである。その特徴としては、第一に、これらの部門における金融資産・負債の残高(ストック)と金融取引(フロー)の両面を捉えていることが挙げられる。第二に、資金循環統計は国際基準に基づいて作成しているため、海外と比較しながら、わが国における金融仲介構造や金融活動の特徴を明らかにできる。第三に、わが国の資金循環統計は取引項目・部門ともに細分化され、様々な分析ニーズに応えられるようになっている。日本銀行では近年、証券化商品残高の公表を開始するなど、資金循環統計の整備・拡充を行っている。これは、2008年に発生した世界的な金融危機以降、既存の統計データでは金融システムに内在するリスクを十分に把握できないとの問題意識が国際的に共有され、統計整備の動きが進んでいることに呼応した取り組みである。今後とも、資金循環統計が多くの統計ユーザーに利用されるよう、工夫を重ねていく方針である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済統計課(代表 03-3279-1111)までお知らせください。