このページの本文へ移動

わが国銀行の株式保有と貸出・債券との連関リスク

2012年4月19日
金融機構局 菅和聖、福田善之、杉原慶彦、西岡慎一

要旨

わが国銀行の株式保有は、収益を不安定化させる要因となっている。加えて、銀行は特定の取引先に対し、株式保有とともに多額の融資も実行しており、仮にこうした取引先が倒産すると、銀行は貸出と株式の双方から損失を蒙る。さらに、民間部門の資金需要が低迷する中、銀行では国債を中心とした債券保有が増加している。株価と金利は同じ方向に動くことが多いが、株式と債券のヘッジ効果を勘案しても、銀行の株式保有は大きい。また、金融市場におけるショックなどを契機にこうした関係が崩れると、銀行は株式と債券の双方から大きな損失を蒙るおそれがある。したがって、銀行は企業取引上の相対的なメリットを吟味したうえで、計画に沿って着実に株式リスクの削減を進めていくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行金融機構局 西岡慎一(shinichi.nishioka@boj.or.jp)までお知らせください。