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信用金庫の最近の収益動向

2013年9月19日
金融機構局 石川篤史、西岡慎一

要旨

わが国では、10年前後にわたって金融機関における基礎的な収益力の低下が続いている。低金利環境の長期化や民間部門における資金需要の低迷が、預貸率の低下と貸出利鞘の縮小を招いていることがこの背景にある。貸出を巡る金融機関間の競合の強まりも貸出利鞘の縮小につながっている。こうした傾向は、地域経済を地盤とし、中小企業を主たる貸出先とする信用金庫において、より明確に観察される。経営健全化や営業基盤の強化を目的に、多くの信用金庫が合併を行ってきたが、合併によって収益力が改善するかどうかは事例によって異なる。信用金庫が今後とも地元地域の経済社会に対して着実に貢献していくためには、潜在的な資金需要を掘り起こしていくとともに、事業再生や成長企業育成の力を高め、利鞘競争によらない貸出を増やすなど、安定的な収益基盤を確保していくことが必要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行金融機構局 西岡慎一(shinichi.nishioka@boj.or.jp)までお知らせください。