金融危機後の国際的要請を受けた資金循環統計の整備と拡充
2014年10月15日
調査統計局 紺野 佐也子
要旨
2008年の金融危機を受けて、既存データでは把握できないリスクの積み上がりや金融・経済の脆弱性を把握することを目的に、新たな統計整備を進める動きが国際的に広がりをみせている。これを受けて、日本銀行では、資金循環統計の整備と拡充に取り組み、2011年から2013年にかけて、新たに3つのデータ(1.債券・貸出金のfrom-whom-to-whom、2.貸出金・債券・預金の期間別残高、3.証券化商品残高)の公表を開始した。これらの3つのデータから、(1)貸出金におけるクロスボーダー取引の増加、(2)公的セクターから民間セクターへの貸出部門のシフト、(3)経済主体間における主要な運用・調達手段の満期構成の違い、(4)証券化商品残高の趨勢的な減少、といった最近の特徴が明らかとなった。
日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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