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わが国の公共料金の特徴

~制度面における欧米との比較を中心に~

2016年7月20日
調査統計局 新谷幸平*1、倉知善行*2、西岡慎一*3

*1現金融機構局
*2現企画局
*3現国際局

要旨

近年、消費者物価の基調が着実に高まる中で、わが国の公共料金の多くの品目で横ばい圏内の動きが続いており、公共料金が持続的に上昇を続けている欧米の動きとは異なっている。この原因の一つとして、公共料金を巡る制度面での違いが指摘できる。欧米は1980年代以降、財政再建などを目的に、(1)民営化や公営企業のガバナンス強化を通じて公営事業の経営規律を高めたほか、(2)独立規制委員会を設置し、価格設定をはじめ経営における政府からの独立性を強化した。この結果、労働費用や投資費用などに見合った価格設定が行われるようになった。一方、わが国では、政府が直接価格決定に関与する度合いが大きく、多くの公営企業などに補助金が投入されており、これが公共料金の動向に影響している可能性がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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