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フィンテックで加速する企業の商流・決済情報の利活用


2019年9月9日
決済機構局 菅山靖史、田村裕子

要旨

情報技術環境やビジネス慣行は、企業間取引における商流・決済情報へのアクセス可能性に大きな影響を及ぼす。金融仲介における情報生産機能は、決済情報にアクセス可能な銀行が担ってきたが、フィンテックはそうした銀行の優位性を一部で低下させる可能性がある。人手不足に直面する企業の間で、合理化・省力化のために会計ソフトを導入する動きが広がり、企業の商流・決済情報が一元的に管理集約できるサービスの発展もあって、会計ソフトベンダーなどのフィンテック企業の情報生産の優位性が高まってきているためである。また、企業の取引銀行数が増加し、預金口座が複数の銀行に分散化する中で、各銀行が入手し得る決済情報の断片化が進んでいることも、銀行の情報生産能力を低める方向に作用し得る。こうした企業情報へのアクセス可能性の変化は、「情報生産機能はフィンテック企業、資金供給機能は銀行の役割」という形で、与信機能のアンバンドリングを一部で促していくとみられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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