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予想信用損失(ECL)型引当の特徴と運用面の課題


2019年9月27日
金融機構局 楠元新一、中野洵子*、三尾仁志、山下裕司**
*現・総務人事局
**現・パリ事務所

要旨

銀行は、企業や家計等に融資を行う際、将来融資が回収不能となるリスクに備え、想定される損失額を見積り、財務状況を開示するバランスシートに貸倒引当金を計上する。世界的な金融危機を経て、貸倒引当金の計上が「少なすぎ、遅すぎた」ことが危機を深刻化させる一因になったとの反省から、広範な情報を活用し、より早期に貸倒引当金を計上することを求める「予想信用損失(ECL)型引当」を導入する動きが世界的に進んでいる。わが国でも、過去の貸倒実績等を重視して見積られた従来型の引当率が歴史的な低水準で推移するなか、金融機関における望ましい引当のあり方を巡る議論が行われている。こうした状況を受け、本稿では、貸倒引当金の新たな会計基準として世界的に導入が進みつつあるECL型引当の特徴と運用面の課題、わが国の現行制度との主な違いを整理する。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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