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米国株式市場のボラティリティに関する一考察


2019年12月27日
金融市場局 早瀬直人、小川佳也

要旨

本稿では、米国株式市場において、投資家やマーケット・メイカーの取引行動の変化が市場の流動性やボラティリティに与える影響について、市場参加者の間で指摘されている代表的なメカニズムを紹介する。具体的には、金融危機以降、ヘッジファンドが全体として相場の流れに追随する投資戦略を拡大させているほか、マーケット・メイカーとして高速高頻度取引業者の存在感が高まっている。こうした構造変化が、平常時は市場のボラティリティを抑制する一方、ショックが加わる場面においては、流動性の低下を介して、ボラティリティの上昇に拍車をかける可能性が指摘されている。金融市場の動向を的確に把握するためには、市場参加者の取引行動の変化や、それが市場に与える影響を十分に理解していくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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