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米国国債市場の不安定化とわが国国債市場への影響―新型コロナウイルス感染症の拡大と金融市場(1)―


2020年8月14日
金融市場局 岡本貴志

要旨

2020年3月、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、国際金融市場は大きく不安定化した。株価が急落する中、先進国の長期金利は一旦低下した後に急騰したほか、ボラティリティが大幅に上昇し、国債市場の機能・流動性が低下した。こうした動きが生じた背景としては、ドル資金確保を目的にファンドや新興国の中央銀行等が資産売却を急いだことや、米国国債市場でヘッジファンド等による高レバレッジの裁定ポジションの急速な巻き戻しがみられたことなどが指摘できる。市場の不安定化の動きは、わが国の国債市場にも、海外投資家によるポジションの急速な圧縮などを通じて波及した。本稿では、こうした市場の不安定化のメカニズムを説明するとともに、市場機能の改善等に向けた中央銀行による対応についても併せて整理する。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
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