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機械学習と株価予測 ―ニューラル・ネットワークの活用―


2020年11月5日
金融研究所 三木翔太*、五島圭一
*現・金融市場局

要旨

機械学習を活用した資産価格の予測が盛んに実施されている。なかでも、ニューラル・ネットワークへの期待は大きい。ニューラル・ネットワークは、パターン認識能力に優れた技術で、様々なデータの動きから価格変動の規則性を発見することを可能としている。ただし、予測精度が向上するかどうかは金融市場の情報効率性に依存する。金融市場が効率的であれば、入手可能なあらゆる情報が瞬時に資産価格に反映されるため、予測精度は改善しにくい。実際、近年の日本の株式市場を対象にした簡単な実験によると、標準的なニューラル・ネットワークは、株式収益率の予測精度を大きく向上させないとの結果となる。この結果は、過去の株式収益率のみを用いた予測をベースとしている。予測精度の改善の有無を評価するためには、過去の株価だけでなく幅広い情報を用いるなど一段の検証が必要となる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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