新型コロナウイルス感染症拡大のグローバルな企業債務への影響
2020年11月30日
国際局 赤穂憲夫、上田一希、長安誠也、乗政喜彦
要旨
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、グローバルに企業の売上は大幅に減少している。本稿では、個別企業の財務データやアナリストの業績予想を利用し、売上の減少が企業の資金需要を高め、企業の債務水準にどのような影響を及ぼすか、分析を試みた。その結果、北米を中心に、対面型のサービス業などで、少なからぬ企業の有利子負債比率が高まるリスクがあることが示された。これまでのところ、政府の支援に加え、中央銀行による迅速かつ強力な政策等もあって、国際金融市場は安定を維持しており、企業は必要な資金を調達できている。世界経済が緩やかな改善基調を辿るもとで、先行き企業の財務は緩やかに改善していくと見込まれるが、感染症の影響の収束まで時間を要する可能性があることを踏まえると、引き続き、その動向を注視していく必要がある。
日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局国際調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。