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最近の大手行の外貨資金繰り運営 ― 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を中心に ―

2021年10月13日

金融機構局 青木凌、安德久仁理、福島駿介、八木智之*、渡邊真一郎
*現・調査統計局

要旨

大手邦銀の多くは、海外貸出を拡大する一方、タームの長い市場性調達の増加や法人預金の拡充など、外貨調達の安定化に取り組んできた。2020年前半に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で国際金融資本市場の緊張感が高まった局面では、コミットメントラインの引き出し等から外貨貸出が急増したが、調達安定化に向けた各行の取り組みに加え、主要6中央銀行による米ドル流動性供給の効果もあって、邦銀の外貨資金繰りに大きな支障は生じなかった。もっとも、ストレス環境下における短期市場性調達の脆弱性が顕在化するなど、外貨調達構造の頑健性を高めることの重要性が改めて認識されたことも事実である。適切な外貨流動性リスク管理は、個別行の安定的な経営に止まらず、金融システム全体の安定性維持にとっても、きわめて重要である。外貨資金繰りが経営上の重要課題の一つとなっている邦銀は、調達基盤の強化とリスク管理の高度化の取り組みに引き続き注力する必要がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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