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私募インフラファンドの特徴・リスク

2022年2月17日

金融機構局 直野未悠*、渡邊真一郎
*現・岡山支店

要旨

近年、インフラ整備のための資金需要の高まりを背景に、インフラ事業に民間資金を導入する動きが活発化している。その中で、発電設備や道路などのインフラ資産を投資対象とするインフラファンドに注目が集まっている。このうち主流は私募形式・クローズドエンド型のファンドであり、その運用資産残高は急拡大し、グローバルにみて8,000億ドルを超える規模となっている。投資先としてのインフラ資産の特徴は、耐用年数が長く、安定した収益を生むことである。インフラファンドに投資する機関投資家の多くも、主に安定したキャッシュフローを期待している。しかし、インフラファンドの資産運用期間はプライベートエクイティ(PE)ファンドと同程度であり、長期運用ではないため、期待するほどの収益安定をもたらさない可能性がある。また、インフラ資産の売買は、取引主体が少なく流動性が低いため、金融ショックに対する脆弱性も懸念される。このため、インフラファンドへの投資に際しては、ファンドの収益安定性・インフラ資産の流動性に留意が必要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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