LIBOR公表停止後のドル調達プレミアムのモニタリングにおける留意点について
2022年2月25日
金融市場局 飯島慎太郎、細川朋道、小田剛正、田尾一輝
要旨
2021年末をもって、米ドルの主要テナーを除くLIBORの公表が停止された。このため、資金調達環境のモニタリングにおいても、LIBORに代わる金利指標を利用して評価する必要がある。特に、海外ビジネスを拡大している本邦金融機関にとって、ドル調達プレミアムの的確な把握は重要であり、LIBOR公表停止後のモニタリングの望ましいあり方を早急に検討する必要がある。この点、LIBORの主要な代替金利指標であるリスク・フリー・レート(RFR)は、信頼性や頑健性が高い指標であるとともに、米欧などの主要市場で有担保取引の割合が増すにつれて、重要性も高まっている。こうしたことから、ドル調達環境のモニタリングにおいても、RFRを活用することが検討の出発点となる。もっとも、RFRには金融機関の信用リスクや流動性リスクが反映されていないため、ストレス局面では、ドル調達プレミアムの実勢を適切に把握することが難しくなる可能性もある。したがって、RFRから算出される指標を基本としつつも、補完的に「金融機関の信用リスクや流動性リスクを内包した金利指標」から算出される指標も点検しながら、ドル資金の市場性調達環境を総合的に評価することが望ましい。
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