経済的視点からみた個人情報の利活用―デジタルプラットフォーマーと決済サービスー
2022年4月26日
決済機構局 杉野聖、丸尾優士
要旨
個人情報は、近年の経済・社会活動のデジタル化や人工知能・機械学習等のデータ分析手法の発展を背景に活発に収集・利活用されているが、利活用を通じた成果を個人と社会全体が適切に享受するには、個人のプライバシーに十分配慮したうえで、利活用の機会が幅広い主体に対して過不足なく提供されることが重要である。これには、個人情報の自己マネジメントがまず肝要だが、「市場の失敗」や「負の外部性」に起因する様々な課題は残る。本稿では、経済的視点からそうした課題について、国際的に、学会や政策当局者から指摘されている論点を概観する。特に、「デジタルプラットフォーマー」の独占化のメカニズムや、決済サービスが特定企業に独占されている場合、現金より高い利便性を持つ公的デジタル決済手段の導入が資源配分の非効率性の緩和等に効果を発揮しうるという議論を紹介する。
日本銀行から
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