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米国におけるエネルギー需給動向の変化とその経済への影響

2022年7月29日

国際局 松原広弥、眞壁祥史、乗政喜彦*
*現・金融機構局

要旨

本稿では、シェール革命を含む米国のエネルギー需給構造の変化を整理した上で、原油価格の変動が米国経済に及ぼす影響について考察する。分析結果からは、シェール革命以降の米国では、2020年に石油関連製品の純輸出国に転じるなどエネルギー自給率が高まるもとで、原油価格の上昇ショックに対して、経済全体としてかつてのような強い下押し圧力を受けにくくなっている可能性が示唆された。ただし、留意点として、本稿の分析が示唆するように、原油価格の上昇により所得が相対的に低い家計で負の影響が生じる可能性や、本分析で捉えきれていないような、気候変動問題に対応した脱炭素の流れのなかでエネルギー産業への新規投資が難しくなっている可能性などを踏まえると、先行き、原油価格の上昇が米国経済に及ぼす影響については不確実性が大きいと考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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