このページの本文へ移動

本邦株式市場における気候関連要因の反映状況―個別銘柄株価にもとづく定量分析―

2023年3月17日

金融市場局 久保太基、小田剛正

要旨

本稿では、気候変動から生じるリスクや機会(以下、気候関連要因)の本邦株価への反映状況について、定量分析を行った。分析にあたっては、先行研究を参考に、以下の2つのアプローチを試みた。ひとつは、気候関連要因を考慮した株式ポートフォリオと市場ベンチマーク等のパフォーマンスを比較する方法である。もうひとつは、標準的な株式利回りの説明モデルに、新たな説明変数として企業の気候関連要因の代理指標を加えるなどして、その有意性を推定する方法である。いずれの方法でも、気候関連要因が本邦株価に織り込まれているか否かについては、サンプル期間や推計手法、推計等に用いられる気候関連要因の代理指標の違いなどによって、区々の結果が得られた。気候関連要因の反映状況を把握するうえでは、様々な角度から定量分析を行うとともに、定性的な調査も活用していくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行金融市場局総務課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。