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米欧の長期金利と株価動向の最近の特徴 ―インフレ指標への注目度の高まりの影響を中心に―

2023年8月7日

金融市場局 土屋晶嵩、桜健一

要旨

昨年以降の米欧金融市場では、インフレや金融政策の動向に市場参加者の関心が集まる中、長期金利や株価の変動が大きい状況が続いてきた。本稿では、シンプルな符号制約VARを用いて、米国を中心に、経済見通しや金融政策を巡る市場参加者の見方の変化が、長期金利や株価にどのような影響を与えてきたかを分析した。まず、米国株価については、感染症の影響緩和等に伴う経済見通しの改善が押し上げに働いてきた一方、昨年入り後は、金融引き締めの影響から押し下げられてきたことが確認された。また、昨年以降、インフレ動向が市場のテーマとなる中で、CPIを中心に、経済・物価指標公表時の金利や株価の変動が拡大していることが分かった。このほか、米国CPIの公表が欧州市場に影響を与える場面もみられるなど、市場参加者の見方の変化が、米欧間で伝播しやすい状況にあったことが示唆された。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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