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人口動態の変化が中長期的な設備投資に与える影響

2023年12月28日

調査統計局 池田周一郎、近松京介*、八木智之
*現・総務人事局

要旨

わが国では、人口動態の見通しを前提にすると、先行き、労働投入量の大幅な増加は見込みにくい。本稿では、こうした人口動態の変化が企業の設備投資に与える影響について、短観の個票データを用いて分析した。その結果、人手不足に直面している企業は設備投資を積極化させ、労働を資本(機械)で代替する動きを強める傾向があることが分かった。先行きも労働需給が引き締まった状況が続く可能性が高いもとでは、人手不足に対応するための省力化投資に対する潜在的な需要は大きいと考えられる。潜在需要が実際の投資として顕在化していくためには、企業の中長期的な成長期待が維持されるとともに、省力化のためのソフトウェアを開発・利用するのに十分な技能を持った高スキル人材を育成していくことや、労働市場の流動化を通じて、人的資本が適切に配分されることが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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