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3つのジャパン・プレミアム:97年秋と98年秋

—— 市場間でのプレミアム格差はなぜ生じたのか ——

1999年 8月13日
花尻哲郎

日本銀行から

日本銀行金融市場局ワーキングペーパーシリーズは、金融市場局スタッフ等による調査・研究成果をとりまとめたもので、金融市場参加者、学界、研究機関などの関連する方々から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、 論文の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融市場局の公式見解を示すものではありません。

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以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (kwp99j04.pdf 275KB) から入手できます。

要旨

 本稿では、邦銀の信用状況に対する懸念が強まった97年秋および98年秋におけるドル資金、円資金、ドル/円為替スワップの3つの市場でのジャパン・プレミアムの動きについて分析する。これら3つのジャパン・プレミアムの間には、平均的にみれば「ドル資金市場におけるジャパン・プレミアム=円資金市場におけるジャパン・プレミアム+ドル/円スワップ市場におけるジャパン・プレミアム」といった関係が成り立つ筈である。しかしながら、わが国の金融システムに関する懸念が高まった97年秋および98年秋には、こうした関係が成り立たない局面もみられた。
 まず、ドル/円スワップ市場におけるプレミアムが原資産市場(円金利、ドル金利、ドル/円為替スポット)の価格から計算される理論値と乖離した背景としては、第1に、採用した原資産市場の価格に十分なプレミアムが反映されていなかった可能性が考えられる。第2に、邦銀の信用力に対する情報ギャップ(非対称性)が拡大した可能性が考えられる。分析結果から、いずれの可能性についてもそれを裏付ける事実が確認された。このことから、自国金融機関の信用状況に関する内外の情報ギャップが拡大するような状況においては、外貨資金市場よりも外貨と自国通貨の為替スワップ市場の方が、当該金融機関の外貨調達手段として有効に作用するように思われる。このため、各通貨資金市場と同様に為替スワップ市場の動向についても注意を払う必要があるほか、同市場の機能向上に努めることが重要と考えられる。また、自国金融機関の外貨調達にかかるプレミアムを低下させるには、それらの信用状況に関する内外の情報ギャップを縮小させることが重要である。

キーワード:ジャパン・プレミアム、為替スワップ市場、情報ギャップ、金融危機

JEL分類:E58,F31,F34,G15