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NIEs、ASEAN諸国の1999年および2000年の経済成長率

2000年 6月 8日
藤田亜矢子
野口麻衣子

日本銀行から

日本銀行国際局ワーキングペーパーシリーズは、国際局スタッフによる調査・研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは国際局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに対するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せください。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (iwp00j01.pdf 249KB) から入手できます。

(要旨)

  1. NIEs、ASEAN諸国では、通貨危機に伴う1998年の大幅なマイナス成長から、 翌99年には急回復を遂げ、2000年入り後も景気回復メカニズムが途切れず、良好な景気展開が続いている。
  2. 99年中の景気の急回復には、前年98年の急激な落ち込み(消費マインドの落ち込み、および、企業による在庫の大幅圧縮)の反動といった面もある。しかし、それだけではなく、エレクトロニクス関連を中心とした輸出の好調に引張られる形で、製造業稼働率が上昇する一方、所得環境の改善見通しと株価上昇から消費マインドが好転するといった好循環が生じ始めたことも事実である。
  3. 2000年についても、民間成長率予測(コンセンサス・フォーキャスト)をみると、こうした好循環の持続に支えられて、国内需要が一段と盛り上がり、ほぼすべての国で、伸びを高める見通しとなっている。
  4. もっとも、ASEAN諸国を中心に、不動産バブルの後遺症から建設部門のストック調整が続くほか、金融・企業部門のバランス・シート問題が残存しているため、海外からの投資資金も、通貨危機以前ほどには流入しないとみられ、通貨危機前の高成長メカニズムを取り戻すには至っていない。

以上