このページの本文へ移動

設備投資、金融政策、資産価格

個別企業データを用いた実証分析*1

2002年 5月
永幡崇
関根敏隆

日本銀行から

日本銀行調査統計局ワーキングペーパーシリーズは、調査統計局スタッフおよび外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(概要)を掲載しています。全文は、こちら (cwp02j03.pdf 259KB) から入手できます。

概要

 本稿は、バブル崩壊後を中心に、個別企業の財務データを用いて設備投資関数を推計し、(1)金利チャネルを通じた金融緩和効果は働いた一方、(2)資産価格の下落により、信用チャネルを通じた金融緩和効果は減殺されたことを示す。資産価格の下落は、企業のバランスシートを毀損した一方で、不良債権の発生に伴い銀行のバランスシートも毀損した。本分析では、資金制約が強いとみられる起債実績のない企業においては、企業自身のバランスシートに加えて取引先銀行のバランスシートの状況も、設備投資に影響を及ぼしたことがわかった。

  1. *1本稿の作成にあたっては、変数作成のためのプログラム開発で、吉野太喜氏(東京大学大学院・経済学研究科)の多大な協力を得た。また、銀行健全性指標の計算は、才田友美、種村知樹(現日本銀行人事局)両氏に負うところが大きい。ドラフト作成段階では、細野薫先生(名古屋市立大学)、鶴光太郎氏(経済産業研究所)、村田啓子氏(金融研究所)、小林慶一郎氏(経済産業研究所)のほか、日本銀行のスタッフから有益なコメントを得た。もちろん本稿のありうべき誤りは筆者による。