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生産性変化がセクター別貿易構造および輸入浸透度に与える影響*

2003年 6月
岡田敏裕
粕谷宗久

日本銀行から

日本銀行調査統計局ワーキングペーパーシリーズは、調査統計局スタッフおよび外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(概要)を掲載しています。

概要

 1990年代に入って、日本経済は物価の断続的低下を経験している。その大きな要因が総需要の弱さにあるとしても、海外からのデフレ圧力についても一つの要因として注目を集めつつある。実際、輸入浸透度は1990年代に断続的に上昇している。本稿では、海外からのデフレ圧力を輸入浸透度で捕え、その変動をマクロ的要因(内外間の予期された生産性変化差、予期されない生産性変化差)、セクター要因(内外間のセクター固有の生産性変化差)等で説明する実証モデルを構築し、実証した。実証結果によれば、マクロ的要因およびセクター要因は、1990年代における日本の輸入浸透度の上昇を有意に説明できた。

Keywords :
Deflation, Import penetration, Trade patterns, Technology changes.
JEL Classification :
F14, F41

* 本稿で示された意見、見解は、筆者個人に属し、日本銀行ならびに同調査統計局のものではない。本稿の作成にあたっては、河合正弘氏、園部哲史氏、松原聖氏、Anton Braun氏、Li-Gang Liu氏、大阪大学大学院経済研究科「木曜研究会」セミナー参加者、関西大学経済学部セミナー参加者、2003年度日本経済学会春季大会国際経済の動学分析セクション参加者、日本銀行調査統計局スタッフの方々から有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。もちろん、本稿の有り得べき誤りは全て筆者に属する。