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わが国の人口動態がマクロ経済に及ぼす影響について *1

2003年 9月
神津 多可思*2
佐藤 嘉子*3
稲田 将一*4

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。

以下には(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(wp03j01.pdf 860KB) から入手できます。

  1. *1本稿の作成にあたっては、福田慎一教授(東京大学)、北村行伸教授(一橋大学)、小塩隆士助教授(東京学芸大学)のほか、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表わしたい。もちろん、あり得べき誤りは筆者に属する。なお、本稿の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および調査統計局の公式見解を示すものではない。
  2. *2日本銀行調査統計局(現考査局)e-mail: takashi.kouzu@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 e-mail: yoshiko.satou@boj.or.jp
  4. *4日本銀行調査統計局(現金融研究所)e-mail: masakazu.inada@boj.or.jp

(要旨)

 本稿は、わが国の今後の人口動態が現行の社会保障制度、労働市場、家計貯蓄率、経済成長にどのような影響を及ぼすのかについて分析を試みたものである。その結果、まず第一に、人口動態の影響により、(1)現行の社会保障制度の維持が困難化する、(2)就業者数が減少する、(3)家計貯蓄率が緩やかに低下していくということが確認された。また第二に、非常に簡単なモデルで試算を行うと、労働投入の減少と資本蓄積の減少から、マクロの経済成長率も低下していくことが示せた。さらに、人口動態に伴う就業者数減少を打ち消すため、高齢者・女性の就業率、移民受け入れ、出生率について、極端な条件を設定しても、成長率へのマイナスの影響を完全に中立化させることは難しいことも分かった。