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都道府県別パネル・データを用いた均衡地価の分析: パネル共和分の応用 *1

2004年 3月
才田友美*2
橘永久*3
永幡崇*4
関根敏隆*5

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。

商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局広報課までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

以下には[概要]を掲載しています。

  1. *1本稿の作成にあたっては、松林洋一助教授(神戸大学)、塩路悦朗助教授(横浜国立大学)、藤木裕氏(日本銀行金融研究所)、白塚重典氏(日本銀行金融研究所)、副島豊氏(日本銀行考査局)のほか、日本銀行調査統計局のスタッフから有益なコメントを得た。
  2. *2調査統計局経済調査課 e-mail: yumi.saita@boj.or.jp
  3. *3調査統計局経済調査課 e-mail: towa.tachibana@boj.or.jp
  4. *4調査統計局経済調査課 (現 London School of Economics
  5. *5調査統計局経済調査課 e-mail: toshitaka.sekine@boj.or.jp

概要

本稿では、都道府県別のパネル・データに、パネル共和分の手法を適用することによって均衡地価を求め、地価の変動要因、とりわけ近年みられる地価の二極化の背景について分析を行った。すると、無裁定条件から導出された長期均衡解は、バブルの可能性を許容する、値上がり/値下がり期待を含めた形でみれば、共和分関係として支持される一方、バブルの可能性を排除した形では、共和分関係としては支持されないとの結果が得られた。また、こうして得られた長期均衡解をもとに、誤差修正型の地価関数を計測すると、不良債権比率の上昇とともに、均衡地価からの乖離が地価の変動に大きな影響を及ぼしてきたことがみてとれた。とりわけ、近年、都市圏と地方圏でみられる地価の格差は、均衡地価の動向と密接に関係していることがわかった。