このページの本文へ移動

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場にインプライされているデフォルト確率と期待回収率の推定 --日本ソブリンとわが国大手銀行のCDSに関する実証分析--

2006年 3月
上野陽一*1
馬場直彦*2

全文は英語のみの公表です。

要旨

本稿では、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引データを用いて、CDS市場にインプライされている日本ソブリンとわが国大手銀行のデフォルト確率・期待回収率の同時推計を行った。また、CDSの期間構造データを用いることで、シニアCDSと劣後CDSの期待回収率の差異についても分析を行っている。実証分析の主な結果は、以下のとおりである。

  1. (1)日本ソブリンとわが国大手銀行のデフォルト確率は、1990年代終盤と2002年前後の銀行危機時に大きく上昇している。
  2. (2)劣後CDSにインプライされている期待回収率は、シニアCDS対比で有意に小さい。
  3. (3)わが国大手銀行のデフォルト確率は、日本ソブリンのデフォルト確率と共和分(cointegration)関係にある。このことから、90年代後半以降、わが国銀行セクターのクレジット・リスクが、日本政府のクレジット・リスクと密接に関連しているとCDS市場参加者は認識していたことが推測される。
  1. *1日本銀行金融市場局
    e-mail: youichi.ueno@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融研究所兼金融市場局
    e-mail: naohiko.baba@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。

無断転載・複製を禁じます。