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粘着価格による物価変動のコスト

2007年2月
代田豊一郎*1
中島武信*2

概要

 本稿は、近年の動学的一般均衡モデルを用いた景気循環理論や金融政策分析で多用される価格粘着モデルを対象として、物価変動のコストの性質を調べるとともに、わが国のデータを用いてコストの計算を行った。本分析の特徴点は、CPIに代表される企業と消費者間の取引だけではなく、CGPIに代表される企業間取引を考慮に入れた点である。物価変動のコストの原因として価格粘着性に注目する場合には、取引段階ごとの粘着性が重要である。CPIで見た場合のコストは、経済全体で発生するコストの一部分に過ぎない。経済が高度化して生産段階が複雑化すると、取引段階が多岐に及ぶため、経済全体での物価変動のコストは大きくなる。分析結果に依れば、消費財取引の価格粘着性だけではなく、供給連鎖による企業間取引の価格粘着性を考慮に入れると、物価変動のコストは5.5倍近い大きさになる。また、本稿は、インフレ率の慣性を説明するために重要と考えられている、2種類の価格設定ルール(価格設定のインデックス化とルールズオブサム)を導入した場合の効果も検討している。それによると、どの価格設定ルールを援用するかによって、コストは大きく異なりえることも明らかとなった。

Keywords:物価変動のコスト、粘着的価格設定、供給連鎖、CPI、CGPI

本稿の作成にあたっては、日本銀行スタッフから有益な示唆を得た。記して感謝する。もっとも、本稿のありうべき誤りは全て筆者らに帰する。なお、本稿の見解は筆者ら個人のものであり、調査統計局及び日本銀行のそれを表すわけではない。

  1. *1日本銀行調査統計局; e-mail:toyoichirou.shirota@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局; e-mail:takenobu.nakashima@boj.or.jp

日本銀行から

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