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経営安定度の産業間相関

2007年8月
稲葉圭一郎*1
服部 正純*2

要旨

本稿は、財務省「法人企業統計調査」から入手した1971〜2004年度における財務データを利用して、経営安定度の産業間相関を定量的に分析している。一連の分析結果によると、(i)各産業の経営安定度は、他のいくつかの産業の経営安定度と順相関の関係にあり、(ii)こうした関係は、産業間の直接的な連関のみならず、各産業がマクロ経済の変動に同じように反応するため生じていることが分かった。また、(iii)同一産業内の大・中・小企業間における経営安定度の相関に注目すると、相関関係は産業毎にかなり異なっていることも見出された。さらに、(iv)上記(i)〜(iii)の関係は、時間を通じて一定ではなく、概して、その度合はバブル前よりもバブル後の方が強くなっている。以上のことからは、与信ポートフォリオの管理においては、マクロ経済動向そのものや、融資先産業のマクロ経済動向に対する感応度を理解し、また見直していくことが重要であることが示唆される。

東北大学経済学部現代経済学セミナー、みずほ証券市場営業グループ投資戦略部、三井住友銀行企業調査部、日本銀行調査統計局、および同金融機構局、における研究発表および出席者各位との質疑応答は本稿の作成にとって大変有益なものであった。特に、以下の諸氏からは、示唆に富むコメントを頂戴したので、記して感謝したい(順不同)。廣瀬 誠氏(三井住友銀行)、松尾泰成氏(同)、村田和志氏(同)、河村充誉氏(同)、渡部和孝氏(慶應義塾大学)、香月康伸氏(みずほ証券)、池上徹氏(同)、北川章臣氏(東北大学)、久田高正氏(日本銀行)、白塚重典氏(同)、木村武氏(同)、齋藤克仁氏(同)、中村康治氏(同)。さらに、データの収集・解析にて、片桐満氏(日本銀行)から優れたサポートを受けた点も、記して感謝したい。ただし、本稿で示されている意見は日本銀行あるいは金融機構局や金融研究所の公式見解を示すものではない。また、あり得る誤りは全て筆者達に属する。

  1. *1日本銀行 金融機構局 大手金融グループ担当
    E-mail: keiichirou.inaba@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 経営分析担当(現、金融研究所 経済研究担当)
    E-mail: masazumi.hattori@boj.or.jp

日本銀行から

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