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日本の社債発行スプレッドの変動要因

2010年4月
大山慎介 *1
本郷保範 *2

要旨

日本の社債発行利回りの対国債スプレッド(以下、発行スプレッド)は、どのような要因で変動しているのであろうか。本稿では、2000〜2009年に起債された普通社債の発行スプレッドを、発行体の信用リスクを規定する要素、発行体・銘柄の固有の属性、銘柄横断的な要素に分解した。その結果、Merton (1974) に代表される構造型モデルが示すとおり、社債の発行スプレッドは発行体の信用リスクを反映していることが分かった。同時に、発行スプレッドの変動の大部分は、銘柄横断的な要素の影響に起因しており、それが金融政策や金融市場全体・マクロ経済を巡る不確実性が投資家行動に及ぼす影響を反映している可能性が高いことが明らかになった。

キーワード
社債、クレジット・スプレッド、企業金融、金融政策

JEL分類番号
E50, G12, G32

本稿の作成に当たり、大橋英敏氏(モルガン・スタンレー証券)、香月康伸氏(みずほ証券)、徳島勝幸氏(ニッセイ基礎研究所)ならびに日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者個人に属する。本稿の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および同企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : shinsuke.ooyama@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail: yasunori.hongou@boj.or.jp

日本銀行から

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